top of page
  • 執筆者の写真雨咲

【ダグキリR18】

●以前ペーパーラリー用に書いたものです。

●キリルがそろぷれいしてます。









 りんご、ぶどう、いちじく、赤、紫、黄色。

 カラフルな色をして艶々と輝くあまい棒。

 彼らに対して俺がイケナイ衝動に駆っれたのは、冷凍庫に仕舞う直前だった。

 懐かしい味。ガキの頃、必死で小遣いを貯めたり時々ねーちゃんやじーちゃんにねだって買ってもらった味。

 夏の習慣だった。欲しがらなくなったのはいつからだろう。

 今日久々にスーパーに並んでいるのを見かけて買ってみた。それだだったのに…。

「ん♡、あ…っ、ああん♡」

 俺は今、その綺麗な棒のうちの一本を手に取ってベッドに転がり、ジーンズ越しに掌で自分の股をきつく撫でまわしている。

 棒の味は林檎。無難と言えば無難だが、何より大好きな彼の色だから。

 燃えるように赤い果実。だけど中身は夕暮れの空のように愁いを帯びて澄んでいいる。

 別に欲求不満という自覚はなかった。

 流石に昨日はしなかったけれど最近は最低でも週に一回はきちんとしているし、キスならそれ以上の頻度だ。

 傍から見ればきっと順風満帆なカップルで、これ以上欲しがってどうすると思われるかもしれない。

 だけど人間そんな教科書通りに生きていけるはずもなく、偶にはどんなに満足していたって満足し足りない時もある。

 これは誰と言うよりまずはきっと彼に弁解して謝らなければならない。

 だけど幸いにも今ここに彼はいなかった。きっと今頃署内で苦手な報告書作成に取り組んでいるだろう。

 上手くやれているだろうか。昨日俺が付箋を貼った所をきちんと確認できればそんなに難しくないとは思うけれど。

 だけど彼のことだからまたややこしくしているかもしれない。せいぜいペンを厚い唇に軽くくっつけながら、眉間に皴でも寄せているか。

「んぅ…はぁ♡、ん、」

 そこでふと彼の唇の温度を思い出して熱がまた一段と高まった。

 淡い色のジーンズの生地を押し上げる欲望はすっかり張りつめて、下着越しにじんわりと愛液が滲んできたのを感じた。

「ふぅ♡ そろそろっ、脱がなきゃあっ…」

 ウエスト部分をおずおずと引きずりおろすと、夏らしいぬるい外気が肌をくすぐる。

 まだ日が高いというのにマヌケだなと思わなくもないが、そんなことより今は先に進みたかった。

 (下着は……まだいいか)

 そして凍っていないせいでぷよぷよと弾力を持っている褐色の棒をゆっくりと脚の内側に潜り込ませてゆく。

「ん♡、ん…、う♡」

 亀頭にパッケージが触れた瞬間少し罪悪感に苛まれる。

 食べ物を粗末にしてはいけないとじーちゃんにあれだけ言われたし、そんなこと人生経験上俺自身が一番よく悟っているつもりだった。

「っ、でもこれは…あ♡ 中身は、綺麗だから…んああ!」

 そう自分に言い聞かせ股に挟んだ棒をおずおすと前後に擦り始める。

 液体を含んだ独特の感触は彼の勃起した陰茎に比べれば頼りない。だけど快感を誘うには十分だった。

「んっ♡ う、うう……は♡」

 湿った息を吐きながら夢中で耽っていると徐々に体がビクビクと震えだす。

 寝そべった時にはひんやりとしていたシーツも、今やすっかり体温が移ってじんわりと汗を感じた。

「は♡ 扇風機…、つけたいっ、!」

 額や頬に張り付いてくる髪が邪魔だと思うも、欲望に従順な手はそうすぐに止まるものではない。

 そうしている間もつるつるとした表面が裏筋や会陰を掠めて堪らない気持ちは増幅するし、何より自分の股間から飛び出している褐色の棒の卑猥さは視覚的にもクるものがある。

 以前―とはいってもほんの二週間前、彼と海水浴に行った先でバックで素股をしてやった時を思い出しながら、硬くなったペニスを絶頂へと追い立てる。

 しかし、快楽に上の空になっている間に事態は思いもよらぬ方向へと動き始めていた。

「―あぁすみません。ただ渡したいものがあるだけなので案内して頂ければ大丈夫ですんで、」

 部屋の外でバハアと会話しながらダグが訪れていることなど、その時の俺は知る由もなく……。

「はうう♡ ああん、んぅ…♡」

「―巡査、いるか?」

 コンコンとドアをノックされたことにすら気づかず、俺はバカみたいに無我夢中で腰を振っていた。

「…あけるぞ」

 そして更に迂闊なもので、こういう時に限って鍵をかけ忘れていたことも失念していた。

 ガチャリという重い音と共に、乾いた靴の音が響く。

「あ、あああダグ、あああああ……♡!」

「俺ならここにいるぞ」

「うん♡ うん♡ だぐ、だぐううう……――って、あ、え?」

 自分以外の声が耳元で聞こえた所でやっと状況を理解した。

「…お楽しみの所悪かったな」

「ふぇ……!」

 乱れた俺の姿を見てもなお平然としているダグと目が合い、俺の蕩けていた脳内は一気に冷却されていく。

「おいおい、それ、アレじゃないか?」

「ひいっ♡♡」

 ダグは徐に俺のもとへと近づくと棒を持っている手に自身の手を重ね合わせ、それからくい、と手首を掴んだ。

 その動きのせいで俺の意思に反して棒が動くので甲高い声が飛び出してしまう。

 そんな様子を見るにるつけダグは面白そうにくく、と喉から低い声を漏らす。

「ダメだろ、食べ物を粗末にしちゃあ」

「う、うう…♡」

「ほら、力抜いて」

 すっかり遊び道具と化している棒の先端を掴んだダグに諭される。

 彼の言い分は真っ当だし、道義に従って考えればきっと俺はここで素直に彼の言うことを聞くべきなのだろう。

 いつもの自分ならそれで良いと思った。でも生憎今の俺はいつもの自分ではない。

 ダグの言葉にイエスともノーとも答えずに黙って俯いていると、案の定もう一度同じことを尋ねられる。

「おいどうなんだ? ほら、足の力緩めて」

「―……やだ」

「ぁん?」

「…これっ♡ はなすの、やだあぁ♡♡」

「……」

 きっと仕事が早めに終わって直接こちらに来たのだろう。

 いつもの黒いジャケットを皴が出るほど掴んで頭を横に振れば、彼は一瞬苦い顔をした。

 流石に怒られるか? と気まずい予感がした。だが意外にも重い空気はやってこなかった。

 しかし甘やかすつもりもないらしく、時が止まったような感覚にかえって俺が戸惑い始める。

「え…? ♡」

「嫌なら嫌で、考えはあるけど」

 考えとは? そう疑問に思っている暇もなくダグは俺の股間に顔を近づけてくる。

「ちょ、ダグ?」

「あんまり動くな」

 するとダグは棒の先端に指を寄せ、キャップを外しにかかる。

 この容器は冷凍した場合には中央のくびれを外すが、液体のまま飲む際にはキャップを外す構造になっている。

 (まさか…?)

 そのまさかだった。

 あろうことかダグは小さな球状の蓋を外すなりそこに現れ吸い口に唇を寄せると、ちゅうっと音を立てて中の液体を飲み始めた。

「あ、ああ……♡♡♡」

 突然の行動に戸惑いながらも、直接触れられていない筈なのにその光景が口淫を連想させて自然と腰が小刻みに動いてしまう。

「ん、んぐ……ん、」

「ふ、あぁ、ダグ、や、んぅ♡♡」

 ダグの喉仏が上下する度に容器の中の褐色の液が減っていく。しかも時折彼の額や前髪に布の下で勃起した亀頭が当たり倒錯的な感情が腹の奥から湧き上がって泣きそうになった。

「やだ、だぐ、も、はなしてっ♡ でちゃ、でちゃうよぉ…♡」

 このままでは下着の中で達してしまいそうで慌てて懇願するも、ダグは聞き入れてはくれなかった。それどころか俺に絶頂を促すべく何度か肩を押したり叩いたりしてみたが、勿論それで敵う訳もない。

「ちゅぷ、ちゅう、んむ……」

「やっやっ、ああ♡ あ、ああああああん♡ ん~~~~!!」

 耐えきれずに叫びながらとうとう堪えきれず俺はそのまま絶頂してしまう。

 びくん、と全身が痙攣し下着をつけているのも構わず熱い精を吐き出すと、同時にダグの喉からジュースの最後の一滴を飲み干す音がした。

「んぐ、……ふぅ」

「んんん…は、はあ、は…♡」

 肩で荒く息をしながらダグを視界に捉える。するとダグの髪に僅かにだがべったりと白い飛沫が付着していた。

「―あっ、ご、ごめ…」

 けしかけてきたのは間違いなく彼の方だ。だけど気が動転してしまい慌ててその個所に手を伸ばそうとした瞬間、ふいに深海色の瞳がこちらに向いた。

「ん? 何かこれ、思ったよりあんまり入っていないんだな」

「あ……」

 中身を失いすっかりしぼんだ容器を脚で挟んだままの状態という己の滑稽さに気付き、思わず顔か熱くなる。

 対して彼は顔色一つ変えずにしっかりと俺のことを見据えながらこう言った。


「―あ、そう言えばさ。ディーナから急ぎで書類預かってきたんだった。悪いけど目を通して貰えないか?」




【了】



閲覧数:8回0件のコメント

Comments


記事: Blog2_Post
bottom of page